「平勤休農」自耕自活の奨め 西村ユタカ(農力向上委員会代表)

アグリ(農)

「平勤休農」自耕自活の奨め 西村ユタカ(農力向上委員会代表)

自ら土を耕すことで得られるものとは。
それは都市に暮らす人に今求められていること。

都市に暮らす人も、お金を使う消費型レジャーばかりでなく、農作業で生産する喜びを感じて欲しい。農力向上委員会が提唱する、“平勤休農”というライフスタイル。今、少しずつこの動きが広がってきている。

文・渡辺 亮/写真・依田恭司郎

現代の消費社会の象徴ともいえる快適で便利な都会の暮らしは、いつまでも続けられるのだろうか。より持続可能な生活の在り方とは何だろうか。農力向上委員会の西村ユタカさんは、都会に暮らす人に向けて、平日は働きながら、休日には農を楽しむライフスタイル、“平勤休農”を提唱している。

「私はインターネット分野でベンチャーを志して起業しました。しかし事業に行き詰った時、1972年に発表された『成長の限界』という本に出会って、脱成長、もっといえば脱消費社会へのフェイドアウトが必要だと思い至ったのです」

その後、「耕作放棄地再生サミット」や「脱成長シンポジウム」などのイベントを企画運営し、また環境活動家のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんやサティシュ・クマールさんの来日講演を手伝うなかで、”Be the change !”という言葉に触発されたという。持続可能な循環型社会を望むのであれば、自ら土を耕して少しずつでも食べ物を自給していくことが重要と痛感。<平勤休農キャンペーン>、<農力検定>を展開するとともに、今シーズンから、神奈川県横浜市と東京都町田市にまたがる寺家谷戸で、自然農法による自給稲作実習と里山の生物多様性保全を両立させる<谷戸田サポーター制度>を始めた。

「寺家谷戸のサポーターは50名くらいです。6枚の田んぼを6組のチームに担当してもらい、共通の作業日をつくって、谷戸田に学びながら作業しています。実際、ここでお米をつくってみて、いかに無農薬が大変かってわかりましたよ」と西村さんは笑う。

農業機械が入りづらい湿田なので、田起こしから脱穀まで人力で試みている。今後は、他の谷戸田でもサポーター制度を導入して、人と自然が共生する、昔ながらの里山を蘇らせたいとのこと。

「考えてみると、昔の人って、お月見だとかお祭りだとか、身近な自然のなかで楽しむことを知っていた。耕作放棄地だけでなく、地域に埋もれる伝統文化も掘り起こしていきたいですね」

自ら耕して、食料のみならず、楽しみも自給する。それが持続可能な生活へと繋がり、安心感も生まれる。土に根ざして生きる“自耕自活”とは、そういうことなのかもしれない。


一般社団法人 都市生活者の農力向上委員会  代表 西村ユタカ
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  88 35号(2013.10.31)

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