Song of the Earth うたい継ぐ地球の唄。 ラビラビ

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Song of the Earth うたい継ぐ地球の唄。 ラビラビ

越地震と東日本大震災というふたつの震災を経て生まれた唄がある。それが「Song of the Earth」だ。年間100本のステージをこなすラビラビが発起人の地球の唄プロジェクトの全貌とは?

文・草刈朋子/写真・廣川慶明


音楽が取り持つ縁のなかで。

2009年10月新潟。その唄は、 Candle JUNEが主催する中越地震の慰霊祭 <SONG OF THE EARTH> の夕方のステージで、ラビラビによって即興で紡がれた。ボーカルのazumiはそのときのことをこう話す。

azumi 「地震にちなんだ唄を、と思いその場のフィーリングでやりました。ちょうどきれいな夕焼けが広がっていたのを覚えています。でも即興なので曲は一切覚えておらず、再現することも考えていませんでした」

そのステージを見ていたのが、シンガーソングライターの青谷明日香だ。

青谷「あのとき、夕焼けを見ながら聞いていたら、 azumiさんに降りてきた詞がすごくよかった。すぐに想いを伝えました。めちゃくちゃよかったと」

まだ名前もないその唄が、輪郭を帯びはじめたのはa2011年のことだ。3月11日、実はラビラビは青森県八戸で震災を経験している。

azumi 「フェリーで八戸港について地元のTacちゃんが営むおそば屋さんへ移動してきたときでした。長い横ゆれが続いて、街中の電気がすべて消えて雪がふってきました。ワンセグをつけると、さっきまでいた八戸港のコンビニの看板が津波で流されている映像が映って。あのまま港にいたら死んでいた…と思うとからだが震えました。とりあえず帰ろうってなって、 Twitterの情報を頼りにガソリンスタンドを探しながら東京に戻る最中に今度は原発が爆発。それからしばらくの間、生きた心地がしませんでしたね」

その緊張がほどけたのが、震災後はじめて迎えた福岡のライブでのこと。

azumi 「そのときはじめて自分が生きてることを実感したんです。メンバー3人とも音楽をやって命を取り戻したという感覚でした。その後3人で話し合い、東北に行くことを決めました。当時多くの人が被害に心を痛めて何かしたいと思っていましたから、旅するバンドの私たちならみんなの想いを集めて届けることができると思ったんです」

ラビラビは全国のライブ会場で募金を募り、物資に換えて余震でゆれる被災地へ向かった。避難所を回るなかで、地元のミュージシャンからライブをやってほしいと頼まれたという。

azumi 「急遽明日やってくれないかって。満月の夜でした。津波で建物だけが残された元洋品店の泥をかき出し、キャンドルを置いて生き残った人たちの前でライブをしました。みんなでその場にいない誰かを想い合い、生きていることを涙と笑顔でかみしめ合った、忘れられないライブでした。そのツアーの経験からあのとき即興でうたった唄を曲にしようと思ったんです」

azumiは青谷に曲作りを持ちかけ、青谷は快諾。そうやってできあがったのが「Song of the Earth」だ。



〈大地がふるえると水のやまができる。あのとき地球さんは何にふるえたんだろう〉わらべうたのようなメロディでうたわれるその唄にいち早く反応したのは、ミュージシャンたちだった。

やじぃ「この唄をYouTubeで見たんです。衝撃を受けて、すぐに歌詞を耳コピしてうたっていました。ライブでうたいたいと思ってラビラビに聞いたら、もちろん! ってね」

「Song of the Earth」はラビラビをはじめ、縁のあるミュージシャンの間で自然とうたわれるようになり、そこから口承歌をつくるというコンセプトが生まれた。そして今年の1月、サウンドプロデューサーにKuniyukiを迎え、コンセプトに賛同したミュージシャンやエンジニアが集まり、太陽光発電によるできたての電力を使って楽曲のレコーディングが行なわれた。 CD化にあたっての目的は、売上を福島の子どもたちに届けること。そしてこの唄がより多くの人たちに届くことだ。 CDにはストーリーテラーとして活躍する女優の坪田直子の朗読も収められ、絵本とともに東日本大震災から4年目の3月11日にリリースされた。

人びとの記憶から震災の記憶が薄れようとしている今、この地球の唄はどのような波紋を生むだろうか。縁とめぐり合わせによって生まれた唄だから、それは自然に広がっていくに違いない。



Song of the Earth参加アーティスト
●ラビラビ ●青谷明日香●やじぃfrom かむあそうトライブス●遠藤恵 from 一二三●竹舞 from TURTLE ISLAND, ALKODO●Tac from zodiac nova, pop-machine& contemporary system●MARLYN from 白檀 ●千尋●Kuniyuki Takahashi ●坪田直子 
CDの売上げはすべて福島県の子供たちへ届けられます。

PROFILE  ラビラビ
ふたりの打楽器(Piko, Nana)と声(azumi)の独創楽団。音楽とダンスを愛するひとびとに導かれフェスやパーティー、カフェから社寺を舞台に音旅を続ける。

Song of the Earth Project

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  88 39号(2015.2.20)


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