参議院選挙17日間の熱量と人間・三宅洋平を伝えること 映画『選挙フェス!』杉岡太樹

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参議院選挙17日間の熱量と人間・三宅洋平を伝えること 映画『選挙フェス!』杉岡太樹

 2013年夏の参議院選挙。ミュージシャンの三宅洋平が立候補した。路上にステージを組み、スピーカーを設置。それは選挙ではなく「野外フェス」のようなだった。そのステージから音楽とメッセージで、自分の思いを三宅洋平は伝え、ツイッターやフェイスブックで三宅洋平のメッセージは瞬時に広がっていった。沖縄から北海道まで、17日間に及んだ「選挙フェス」を追いかけたドキュメント映画が完成。7月4日にロードショー公開される。2013年参議院選挙は7月4日に公示された。

−−−− 17日間に及ぶ「選挙フェス」の旅を終えた時に、どんな映画になると確信したのですか?

 杉岡 選挙が終わった直後は、映画にできる確信はまだありませんでしたね。それから数日経って、ラジオから流れてきた洋平くんの声を聞いた時に、「イケるかも」と思いました。いろんな意味で一筋縄にはいかない映画になるだろうけど、「選挙フェス」という事象をポジティブに映し出すことができるかな、と。

 

−−−− 映画の印象的な部分に三宅洋平の涙を持ってきた理由は?

杉岡 駅前を埋め尽くす群衆やマイクを持って叫ぶ洋平くんのイメージがこれからも記憶されるだろう「選挙フェス」ですが、僕としてはその裏で彼が見せた「悲しさ」をしっかり形として残したかったのかな、と。選挙に出たことで彼が諦めたコト、失ったモノ。そして、それでも議席を獲得することができなかった、という事実。その「重さ」を表現することで彼の覚悟の強さを伝えられるかな、と思いました。

−−−− 映画として2時間におさめることでもっとも考慮して点とは?

杉岡 「選挙フェス」はリアルタイムで少なくないヒトに共有されていた事象であり、それを自分の作品として再構築することにプレッシャーは感じていました。「あのシーンはどうして入ってない?」とか言われるかな?とか(笑)。あと、どのアーティストを入れてどのアーティストを入れないか、みたいなことも、しがらみがないのに気を遣う自分がいたり(笑)。


−−−− 「選挙フェス」から2年経過して、あらためてこの映画の持つ意味とは何だと思いますか?

杉岡 意味……は観るヒトによってそれぞれ違うと思うし、違ってほしいんですが、僕としてはすべての画、すべてのカットが、あの時に自分がなにを大事に思っていたかの記録になっているので、2013年夏の「自画像」としての意味合いが強いです。

−−−− この映画『選挙フェス!』で伝えたかったこととは?

杉岡 政治的なメッセージとして「三宅洋平を支持しよう」みたいな気持ちは強くなくて、でも「三宅洋平、面白くない?」くらいの軽い気持ち。そして、一躍時の人となった彼の等身大を見せることで、一人でも多くのヒトに「あんまり自分と変わらないな、自分もなにかできるかも」とポジティブに思ってもらいたいです。


−−−− 映画『選挙フェス!』が、杉岡監督にもたらしたものとは何でしたか?

 杉岡 たった17日間であれだけのムーブメントを起こすヒトを間近で観察できたことは、自分の考え方に大きな影響を受けました。「自分はできる」と、もっと信じてみよう、と。また、今までは個人的な作品を創ることに意義を感じていましたが、この映画を通していろいろな方に応援してもらう、という経験をして、「ちゃんと伝えること」に意識が向くようになりました。今後の制作でそれを示していければ、と思っています。


『選挙フェス!』7月4日から、渋谷ユーロスペース、横浜ジャック&ベティなどでロードショー公開。

profile 杉岡太樹

1980年神奈川県生まれ。01年に渡米、School of Visual Arts(ニューヨーク)にて映画製作を学ぶ。第84回アカデミー賞ノミネート作品の『もしもぼくらが木を失ったら』や、日米で異例のヒットとなった『ハーブ&ドロシー』などの制作・配給に参加。2010年より拠点を東京に移し、「脱原発デモ」の萌芽を追ったドキュメンタリー『沈黙しない春』で2012年に長編映画デビュー。現在ブラインドサッカーチームを追った次回作を制作中。



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