DACHAMBOというコミュニティから発信された音と遊ぶセッション

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DACHAMBOというコミュニティから発信された音と遊ぶセッション

結成以来、ライブによってコミュニティを構築してきたDACHAMBO。震災以降、メンバーが各地に移住。結果として、2013年から2014年にかけて1年に及ぶ活動停止を決断した。復活を遂げる前から制作に入っていた新しい作品。6人がセッションを重ねて到達した「今」のDACHAMBOが刻まれたアルバムがリリースされた。

文・菊地 崇/写真・林 信二

5年ぶりの新作。

––––  ついに5年ぶりのアルバムがリリースされましたね。

AO そうなんです。活動停止もあって、ここまで時間がかかってしまいましたね。

––––  2011年の震災前から、レコーディングには入っていたわけですよね。

AO レコーディングの合宿から戻って、翌日に地震が来て。先が見えなくなって、悶々としていた世の中だったから、ひとつの起爆剤として〈ハーベスタ〉を開催した。達成感はもちろんありましたよ。けれどギリギリのところまで行っていたから。震災前はメンバー全員が東京近郊にいたんだけど、移住したメンバーもいたし。

––––  バラバラになってしまうと顔を合わせることも少なくなってしまう。

AO DACHAMBOと自分たちの生活を両立させることが難しくなって。そして活動停止まで行って、出直しましょうと。

––––  個性あるメンバーが集って11年も続いていた。

AO 考えてみたらミラクルバランスですよね。でもそのバランスって無意識のうちにとれていたんですよ。それがバンドっていうものなんだと思います。

––––  どういうきっかけがあって、もう一度集まろうということになったの?

AO 2013年の1年間を休んで、その年の年末に軽い気持ちで集まったんですよね。そろそろやりたいというみんなの雰囲気があって。

––––  東京に残った人も、東京を離れた人も、それぞれがそれぞれの場所でライフスタイルを見つけ出そうとしていた。

AO まだ手探り中ですけど(笑)。でもそういうことがあったおかげで、出逢った人たちも少なくない。DACHAMBOの新しい合宿所も見つかったわけだし。みんなが応援してくれるんですよ。



時間を空間を超えて。 

––––  レコーディングはどういう感じで進んでいったのですか。

AO 震災前に録ったものも残っているんですね。ただ今の気分でもう一度やり直そうと。

––––  6人が集まって、久しぶりに音を出してみてどうでした?

AO やっぱりDACHAMBOはDACHAMBOなんだなって。どこを切ってもDACHAMBO(笑)。新しいことをやろうとはしているんですよ。各自のソロ活動もあるし、そこから持ってきたものもある。どうしてもセッションから作りはじめるバンドなので、そこからストーリーを拾わない限り延々とセッションが続くんですよ。

––––  ストーリーが生まれるのはどういうときなのですか?

AO 例えばひとつのセクションに対してのセッションが、みんなが納得するような形で生まれたときに、それを聞き直すんですね。そこからどう広げていくかっていうのを、何回も何回も同じことを繰り返して探していく。効率の悪いやり方ですよ(笑)。

––––  6人が「これが最高だった」と思えるのは、まさに奇跡のセッションなのかもしれないですね。

AO 奇跡のセッション…。まあ6人じゃないと生まれないものだと思いますね。だから変わっているようで変わっていないようで。今回は開き直りがありましたよ。「それでいいんだ!」っていう。これが自分たちなんだっていうことを再認識した。

––––  やはり変わりたいという想いも強い?

AO ずっと模索しています。ひとりひとりがやりたい音楽が違うわけだから、それを合わせた地点で未知のものなんですよね。



––––  2014年春に再始動した。その時点でもレコーディングしていましたよね。

AO 活動を復活させようとしたときから、ニューアルバムを発表することは視野に入れていました。新しい作品、新しい自分たちを聞いてもらいたいと思っていたんですけどね。発売まで1年半もかかってしまって。

––––  スタジオに入ってから変化はあったのですか。

AO 変化という変化はないですね。それまでの曲作りとは違ったアプローチを言い出したりして、それが逆におもしろくて。今回のアルバムには、その影響を受けた曲もありますよ。即興のフレーズをみんなでユニゾンして遊ぶみたいな。

––––  レコーディングを繰り返して、「これだ!」って決まる瞬間があるのですか。

AO バンドが乗っているかどうかっていうのがテイクの基準なんです。6人でしか出せないグルーブ。こんなに速くなっていいのかっていう曲もあるんです。でもそれがバンドとして一番乗れている。そこが重要なんですよね。

––––  完成したときはどんな感覚でした?

AO けっこう感動しましたよ。まあ5年もかかったというのは、その間にいろんなドラマがありましたからね。自分たちのなかで、そのドラマを詰め込んじゃったぐらいの感覚はありますよ。胸を張って「今のDACHABOです」って言えるアルバムですよ。



––––  アルバムのタイトルは?

AO 『PURiFLY』。浄化するとか清めるという意味のピュリファイと、飛んでいるフライを造語させて『ピュリフライ』。時間軸とか空間枠とかを超えたとこにある楽しみ方を提示したいんですよ。そういう感覚で、音楽を聞いてもいいんじゃないかなっていう。偉そうに言う感じでもないんだけど、やっぱり音楽で世界を塗り替えたいんですよ。俺はそこしか信じられないっていうか。

––––  変えられる可能性はあると思う。

AO 可能性しか見えていない(笑)。

–––– 『PURiFLY』で試みた挑戦なんですね。

AO 他にもあるんですよ。日本語で歌詞を書いているんです。いろんな国で音楽をやりたいし。そこを目指すには、日本語という言霊もおもしろいんじゃないかなって思って。

––––  他のメンバーからは、日本語で歌うことに対してどんな反応がありましたか。

AO 歌入れギリギリまで適当なことしか言ってなくて。本番ではじめて歌詞を歌ったんです。みんなビックリしていましたね。

––––  いつも使っている言葉で歌う。そこには、やはり言霊が宿されるはずだし。

AO 響きとかバイブレーションとか、言霊によって伝わるんですよね。海外のアーティストのライブで言葉がわからなくても伝わってくるものがある。自分の言葉で何かを伝えたい。まあ、言葉遊びも含めて楽しんでやっているだけなんですけどね。

––––  少し前に、スローやミディアムなナンバーもDACHAMBOでやってみたいと言っていたけれど。

AO 全員が自然な形でそういうものが生まれていくのが理想ですね。大人になったなぁって(笑)。



ライブで変化していく曲。

––––  DACHAMBOフェス〈ハーベスタ〉。今年の開催はあるのですか。

AO やりたいんですけどね。

––––  毎年のように開催場所を変え、2011年にはフリーで1万近くのフリークを集めた。

AO フリーにするかどうかはわからないけど、普通の感じにはしないと思います。

––––  自分たちのやりたいことを形にするのは難しい。

AO 今、ローカルで、いろいろな形でフェスをやっている。それが繋がっていけばいいなって思っているんです。

––––  ローカルを繋ぐのが音楽なんだろうし、それがDACHAMBOの役割だと思う。

AO いつかボーダーは無くなるような気がします。時代の動きは速いように感じられるけど、そうではない部分も確実にある。DACHAMBOは腰を据えてきたというか、DACHAMBOはDACHAMBOでいいんだっていう。

––––  活動を停止していた1年は、フェスにはDACHAMBOが必要なんだと実感していました。

AO 不良が大人になって、親になって。みんな子どもを巻き込んで遊べるような状況をちょっとずつ作りはじめているというか。そういう意味ではフィールドは広がっていると思います。

––––  確かにそう。かつての野外パーティーやフェスには、危険な香りが漂っていたんだけど。

AO アンダーグラウンドが先に行かないとね。理解されるかどうかわからない。でも自分たちの最高な遊び場を表現したい。そんなパーティーやフェスのほうが、カルチャーとしてはおもしろいわけだし。

––––  そういう部分ではローカルに可能性が残されているのかもしれない。

AO まだまだおもしろいことをやろうとしている仲間がいっぱいいますから。

––––  DACHAMBOがいるっていうことは、遊べる場所があるっていうこと。

AO 別にそれを保証しているわけじゃないんですけどね(笑)。好き勝手にみんながやっていることを、俺は止められないっていうだけで。考えて見れば、今は両極端かもしれないですね。

––––  いろんなことが混在している。

AO ただフェイスブックやツイッターによって、フェスもライブもコンビニエンスになっていると思うんですね。自分から探すものではなく与えられるものになっているというか。探したほうがワクワクするはずなのに。

––––  アルバムをリリースしてのツアーは?

AO ツアーして、日々変化していく。それを本当にやりたいというか。フェラ・クティはアルバムが最終形って言っていたけれど、DACHAMBOはそこからはじまるんですよね。曲がどう変わっていくのか、変えていくのか、ツアーをして、毎日の演奏のなかでその変化を楽しめたら最高ですね。

––––  最後にDACHAMBOとして何を目指していきますか?

AO 今年のはじめにオーストラリアへ行って、そこでの手応えがけっこうあったんですよ。世界中にアプローチしていきたいですね。あとは日本のアンダーグラウンドに仕掛けていかないと。コンビニエンスなフェスだけでは世の中はおもしろくないですから。


PROFILE
日本が宇宙に誇るサイケデリック・ジャムバンド、もしくは快楽探求楽団DACHAMBO。結成10周年をむかえた2011年には、毎年恒例となっている自主運営の野外フェス〈HERBESTA〉を1万人規模の無料フェスとして拡大して開催した。2013年2月のライブを最後に活動を停止。昨年4月、横浜BAY HALLのライブで復活を果たした。フェス番長の異名もあり、今年も数々のフェスを「祭りの場」へと昇華してくれる。

FEST INFO
8月8日 88 ROCK ANNEX@大阪Shangri-La 
8月22日〜23日 HOT FIELD 2015 @黒部市宮野運動公園
8月29日〜30日 WINDBLOW’15 @相良シーサイドパーク
8月29日〜30日 ツキノウタゲ2015〜COME AGAIN SPECIAL〜 @服部緑地野外音楽堂
9月4日〜6日 Sunset Live 2015 -Love&Unity- @芥屋海水浴場・キャンプ場

LIVE INFO
9月22日 濱Jam祭 presents DachamboワンマンLIVE〜Go to Heaven@横浜THUMBSUP 


CD
『PURiFLY』5年ぶりに発表された6枚目のフルアルバム。震災を経て、活動停止を乗り越えて完成した6人による新しいサウンド。ギター、ツインドラム、ベース、ディジュリドゥ、キーボードという編成から生み出される音は、唯一無二の世界観を放つ。DACHAMBOの浄化飛行の旅がはじまる。5年ぶりの新作。

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