いっぱいのありがとう 〜 クムフラからのメッセージ Sandii

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いっぱいのありがとう 〜 クムフラからのメッセージ Sandii

日本で生まれ、ハワイの文化にも精通、クムフラ(フラの伝道者)として活躍しているサンディーに、<祈り>を テーマにお話しをうかがった。

写真・片岡一史



バタフライフリー

最初は、醜い、地や草の上を這う青虫も、蛹(さなぎ)になって、蝶になります。光に向かって羽ばたいていきます。

飛べるようになって、何をする?

花を見つけます。花の蜜を吸います。そして、次の花へ。

そういう蝶、バタフライのことを、ハワイの言葉で、「プレレフア」と言います。

「プレ」は、〈祈り〉。「レフア」は花。

蝶は、花がプレイヤー〈祈るもの〉として発している蜜、花の〈祈り〉を吸い取って、次の花に〈祈り〉を届けて回るイメージです。

フラダンサーは、「蝶」のような存在だと思っています。それぞれの人の〈祈り〉を、次の人に運んで、運んでいるうちに、自分もちょっとづつ〈祈り〉をいただくから、どんどん幸せになっていって、元気になって、輝いていられる。

ピュアに思いを馳せること

〈祈り〉って言っても、特別な行為ではないと思います。

「誰かに」とか、「何かに」思いを馳せること。それがピュアならピュアなだけ、それそのものが〈祈り〉になると思うんです。

お茶を入れる時、お客さまがほっとするために飲んでいただきたいと思って入れる。そうすると、相手も和めたりする。それは〈祈り〉が入っているっていうこと。特別なことではないんですよね、〈祈り〉って。

フラは〈祈り〉。身体で宇宙というキャンバスに〈祈り〉を描く踊りなんです。

大きなショックから見つけたもの

3・11、東日本大震災の時に、耳に残ったのは、助かった人たちの「ありがとう」っていう言葉だったんです。とてつもなく怖い思いをしてたどりついたのが「ありがとう」っていう言葉だったなんて。これは、すごく大きなメッセージだと思うんです。

日本人の奥深さ、そこにあるのは〈命〉そのものへの〈感謝〉。だから〈ありがとう〉。これって〈祈り〉の原点なんじゃないかって。

きっと多くの日本人が、そのことに気がついたはず。



リスペクトと感謝、ありがとう

〈祈り〉って〈感謝〉なんだと思うんです。ハワイの言葉で〈マハロ〉は〈ありがとう〉。〈マハロ〉には、リスペクトの気持ちも含まれています。

生まれて、この世に魂が宿ったときから、〈感謝〉〈マハロ〉にあふれている。〈祈り〉がはじまっているんですね、きっと。この世に生を受けるって、奇跡の連続ですから。

〈ありがとう〉をノートにまとめたらって、みんなに提案しているんです。

〈ありがとうノート〉。

どんなにつらい日でも、「自分がここにいてよかった」「生まれてきてよかった」。そういう出来事を見つけたら書き残しておく。毎日。もちろん、いっぱいあったらいっぱい書いておけばいい。ただ一切ネガティブなことは口にしない。書かない。〈感謝〉だけをつづったノート。書くことは、小さいことでもなんでもいい。たとえば、春が来たとか、夏を感じたとか、それで〈ありがとう〉って。そういうふうに感じられる自分が見えてくる。そんな自分を大事にすれば、自分のことも好きになれる。

一カ月たって、そのノートを読み返したら、きっと、すごく幸せになれる。

私も、そのノートに救われたんです。

〈ありがとう〉っていう、自分の〈祈り〉に。

悪いイメージを持っていると、いつか、本当にやってくる。その怯え、恐怖を抱いているよりも、すてきなビジョンを思い浮かべるようにしています。そういう〈祈り〉。そのために歌っているし、踊っている。フラを教えている。すてきなフラをみんなにも踊ってもらいたいから。自分を高めてくれるフラを。自分を信じよう、優しくなれる自分を信じよう、それが自信なんだって。

感謝を受けとめて

魂が学ぶこと、それも〈祈り〉。魂が学んでどんどん成長を続ける。成長するだけ成長する。後退することって、絶対にない。それは、生きている限り、いつまでも。

人間にとって大切なもの。それはマテリアルだったり、宝石だったり、いろいろあるけれども、最後、魂が身体を抜け出ていくとき、マテリアルも、宝石も一緒に持っていけない。成長した魂だけが去っていく。いっぱいの〈ありがとう〉、感謝を受け止めて。


Sandii
10代を主にハワイで過ごし、本格的にフラを学ぶ。1974 年に日本での活動を開始。1980年には細野晴臣プロデュースのアルバムを日英で発売する。また、フラの正統的継承者としてクム・フラを目指し修行を続け、2005年にウニキ・クム・フラ(フラの正統的継承者)の称号を授かる。
www.sandii.info


cd『Sandii's Hawaii 7th-Island Style』
2013年6月10日に発表された“サンディーズ・ハワイ”シリーズ。古き良きハワイアン・ミュージックに新たなキラメキを吹き込んだ21世紀型のアイランド・スタイルの音楽を目指し、誰もが耳にした事がある名曲や、サンディーが密かに大切にしてきたとっておきのスピリチュアル・ソングなど全19曲を収録。





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