機能あるアウトドアウェアを ライフスタイルに持ち込む HARVESTA! 岡部文彦

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機能あるアウトドアウェアを ライフスタイルに持ち込む HARVESTA! 岡部文彦

アウトドアウェアの日常化をはかってきた。洒落の粋をひょうげしながら、ファッションの観察者として表現すること。

文・Lj編集部/写真・伊藤郁

アウトドアウェアを日常へ。

— スタイリストという仕事のことを知ったのはいつでしたか。

岡部 高校のときにファッション雑誌を見て「あ、こういう職業もあるんだ」って知ったんですね。まあただ格好をつけることが子どもの頃から大好きで、スタイリストという職業はモノをカッコよく見せる仕事なんだなと、雑誌で学んだと思います。子どもの頃からお洒落だったってことは全然ないんですけど(笑)。例えば「野球をするときは長袖を着用して…サッカーするときは半ズボンでロングソックスを着用して…」みたいに格好を気にするところがありましたね。もうひとつちょっと変わっていたのが、風景を気にするような癖があったんです。道に空き缶が落ちていて、そこに空き缶が無いほうがカッコいい風景に見えるから拾う。決してエコ的な感覚じゃなくて、風景をスタイリングしていたのかもしれないですね。 

—ファッションに興味を抱くようになったのは?

岡部 他のスタイリストの方とかは、海外のファッションや音楽などのカルチャーに影響を受けてファッションへ向かう人が多い。ビートルズのファッションを真似るとか。でも僕は、漫画家の鳥山明の世界観に影響を受けてファッションに興味を持ちました(笑)。考えてみると、ただ単純に「カッコいい」ということに憧れを持って、「お洒落な人間になりたい」と思っていたんですね。高校生の頃は、地元で一番お洒落と言われているセレクトショップで、バイトで稼いだお金で頑張って流行だと言われていたモードなブランドの洋服を買って。高校を卒業して東京に出てきたばかりの頃、いろんな人がいろんなファッションスタイルをしていて、とても自由だなってものすごく衝撃を受けたのを覚えています。その時代、渋谷を歩いていて、「あの人お洒落だな」って気になる人は、大概 <パタゴニア> などのアウトドアウェアを着こなしていたんです。セレクトショップや古着屋さんの店員さんなど、雑誌でいうところのファッションリーダーなる存在の人に影響を受けましたね。アウトドアウェアってお洒落を知っている人が着ているモノなんだって憧れのスタイルになっていましたね。

—アウトドアウェアを街で着るというスタイル。

岡部 スタイリストとして独立したのが15年ほど前。フェスなどには興味がなかったんですけど、ソト遊びは大好きだったんですね。車中泊やキャンプなどはしていましたし。自分のスタイルはソト寄りの格好だなって思っていました。徐々に、自分が街で着ていてもアウトドただ単純に「カッコいい」ということに憧れを持って、「お洒落な人間になりたい」と思っていたんですね。高校生の頃は、地元で一番お洒落と言われているセレクトショップで、バイトで稼いだお金で頑張って流行だと言われていたモードなブランドの洋服を買って。高校を卒業して東京に出てきたばかりの頃、いろんな人がいろんなファッションスタイルをしていて、とても自由だなってものすごく衝撃を受けたのを覚えています。その時代、渋谷を歩いていて、「あの人お洒落だな」って気になる人は、大概 <パタゴニア> などのアウトドアウェアを着こなしていたんです。セレクトショップや古着屋さんの店員さんなど、雑誌でいうところのファッションリーダーなる存在の人に影響を受けましたね。アウトドアウェアってお洒落を知っている人が着ているモノなんだって憧れのスタイルになっていましたね。

—アウトドアウェアを街で着るというスタイル。

岡部 スタイリストとして独立したのが15年ほど前。フェスなどには興味がなかったんですけど、ソト遊びは大好きだったんですね。車中泊やキャンプなどはしていましたし。自分のスタイルはソト寄りの格好だなって思っていました。徐々に、自分が街で着ていてもアウトドアウェアのほうがいいと感じていって。モードが流行の最先端って言われていましたけど、アウトドアこそ一番先を走っている。そんなふうに解釈してスタイリングをするようになったんです。

—それが日本発信のスタイリングになると。

岡部 今では、雑誌『GOOUT』や相澤(陽介)君の影響もデカいと思いますが、日本のファッションが海外から注目を集めるようになっていますよね? 今までのファッションは日本がアメリカやヨーロッパを追いかけていた。洋服なのですから、先に歴史を歩みはじめたものを追いかけるのは当たり前のことです。でもいつの頃からか、日本が追い越していた。日本が世界から注目を集めるようになった。アウトドアウェアというフィールドでは特に。アウトドアウェアが持つ機能美に、ファッションというエッセンスをプラスしていく。日本人はミックスしていくことに長けているから、それがはまったんでしょうね。山に登る人に向けていたアイテムをお洒落として普段着にする。僕はスタイリストとして、本来の使い道とは違う隙間を見つけていくことが遊びのようで楽しいんです。


ライフスタイルのなかのファッション。

—スタイリストとして活躍しつつ、<ハーベスタ!>という農園芸のアイテムもつくっています。

岡部 地方って農業が主体じゃないですか。僕が育ったのは岩手の小岩井農場の近くで周りは農家の人も多かった。実家は農家ではなかったけれど、農業には汚いとかダサいとかっていうイメージがつきまとっていました。それを払拭することができたらいいなぁって頭の片隅にずっと思っていて。アウトドアウェアを農業のフィールドにもミックスしてファッション要素も混ぜていけたらいいんじゃないのか!? そんなウェアがあったらいいなって。農業というよりも農園芸。土にまつわるウェア。農業や園芸にもいいイメージを抱いてもらいたい。アメリカのワークウェアもカッコいいじゃないですか。動きやすくてデザインもいい日本発のお洒落な作業着。ただモノづくりは難しいですね。やっぱり。

—機能もあり、ライフスタイルにも繋がっていくファッション。

岡部 ここのところ、ファッションは着るものからライフスタイルという全体に流れが変わってきていますよね。衣食住に関心が向かっている。そのなかで「日本」ということもすごく意識するようになってきていると思います。洋服やファッション雑貨だけではなく、器などの暮らしを演出するアイテムをセレクトするショップもここ数年増えてきています。

—デザイナーとスタイリスト。やはり視点は変わるものですか。

岡部 スタイリストってその時代に合わせた流行を客観視してビジュアルとして表現する人。デザイナーはモノをつくれる人で、それぞれ個性があります。個性を組み合わせて、スタイルを構築していく。それがスタイリストなのだと思います。自分はスタイリングをすることがとても大好きなんですが、今は隙間を見つけて「日本的なモノをつくっていく」ほうに興味があって、デザインをしてスタイリングもするという二足のわらじ的になってきています。

—日本をより意識するようになったということは、スタイリングにもそれが現れているのですか。

岡部 ファッションでもっと日本らしさっていうスタイルを追求したいんですよ。日本の風景に馴染むファッションというのが必ずあると思うんです。 <ハーベスタ!> で言えば、機能とファッション性を兼ね備えた庭師のようなスタイル。

—年齢を重ねることによって、ファッションの見方も変わってきた?

岡部 大正時代に柳宗悦が起こした民藝運動は「用の美」を提唱していて、アウトドアウェアの日常着とリンクすると思うんです。それこそが理想なのかなと思います。建物にしても、器にしても、衣服にしても、衣食住のそれらが、自分たちの暮らしにピタッと馴染むことで自然環境にもはまっていく。そこにどう遊び心を入れていくか?それがファッションであり、スタイリングであるんだと思います。スタイリストの仕事をはじめた頃までは、ただ「カッコいい」ものを追っかけていただけだったのかもしれません。「お洒落」って「お」が付くだけでちょっと恥ずかしいじゃないですか(笑)。「駄洒落」っていう言葉もあるけれど、「お」を抜いた「洒落」が粋なんだと思います。知っていたうえで、敢えてすることが「洒落」なんだと思います。だから、「おしゃれ」じゃなくて「洒落」を目指したいなと思っています。

Profile:HARVESTA! 岡部文彦
1993年に就職のために岩手から上京。その後、服飾専門学校を経て2000年にスタイリストとして独立。アウトドアとファッションを繋ぐ数々のスタイリングを提案した。2009年バリカンズ発足。2010年農園芸作業着 <HARVESTA!> をスタート。雑誌『GOOUT』では「外遊び研究所」なる連載を持ち、現在ではアウトドアメーカーなどの商品企画にも携わっている。 www.okabec.com

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