「出逢い DEAI」の新たなるステップ

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「出逢い DEAI」の新たなるステップ

新潟県越後妻有で3年に一度開催されるトリエンナーレ「大地の芸術祭」。2012年、前回開催時、Bubb & Gravityfree with KEENの作品として出展したのが「出逢い DEAI」だ。空屋をコンバーションし、流木などを使い、ペインティングを展示した。トリエンナーレが終わってからも、Bubb & Gravityfreeの3人は東京と「出逢い DEAI」を行き来しながら、創作活動を続けている。そして、新しい試みをはじめたというので「出逢い DEAI」を訪問した。

文・写真/片岡一史 
      

Bubbさんを津南に訪ねて

「出逢い DEAI」がある津南町の太田新田は、過疎化が進み、30〜40歳代の人は指を折って数えることができるぐらい少なくなっている。それでも毎日、村の人たちは、朝早くから夕方まで農作業を続ける。食べるものを育てる、作っている、その姿にあらためて感動したというBubb & Gravityfreeが、今年から田んぼをはじめた。とうもろこしなどの農作物は作っていた。けれども米を作るのははじめて。作った米を使って「どぶろく」が作れないか。米を取った後は「わら細工」ができないか、それを模索するためだ。


この地域では昔から「どぶろく」を作っていた。「わら細工」も、まだ、作り手がいる。これらを使って、何か新しいことができないかという試みだ。

去年、試験的に「どぶろく」を作った。熱処理していない酒は、うまい。これをこの地元で許可を得て商品にできないだろうか。

「わら細工」。このままでも、もちろん素晴らしいものだけれども、ひとつ工夫を加えることで、POPにできる。それで村が豊かになれないか。

この地方は雪が深く、冬は閉ざされた季節になる。「どぶろく」や「わら細工」が、閉ざされた世界を開く、ひとつのきっかけにならないかというチャレンジでもある。

「無理やり考えるんじゃなくって、ここに住みながら出てきた発想なんだ。今までなかったものじゃないし、あったものに、ちょっと俺たちが色を加える、アートというね。それが作品になって、みんなの糧にもなり、みんながハッピーになれる。素晴らしいことができるんじゃないかと」そうBubbさんは話す。

しかし、Bubb & Gravityfreeだけでは乗り越えないといけないハードルは多い。その良き理解者であり、協力者になってくれているのが、「出逢い DEAI」の近隣に住んでいる中沢優さんだ。

中沢さんは、大工という本職がありながら、現在は、ここで農業を続けている。農業を始めたのはお父さんがお亡くなりになってから。その頃は、一家を賄うだけの田んぼはなかった。田んぼをやるなら家族が一年食べられるぐらいやらないと。声をかけはじめたら、うちもやってほしいと頼まれるものも増え、現在は、4町歩の圃場をやっている。

最初、この民家にBubb & Gravityfreeが来るという話が出た時、まっさきに賛成したのが中沢さんだった。中沢さんは、この村を何とかしなければいけないと思っていたという。このままでは村の将来はどうなるのか。

「自分たちも旅行して見学したりするけれども、通りいっぺん。その場だけで終わっちゃう。でも、住むとなると、それじゃすまない。都会から見ると、そんなことっていうことがいっぱいある。あるんだけれど、それをみんながなんとかやりながら、ここでは生きている。だから、いきなりは難しいんだ。いくら活性化に向けてやろうと言っても、急になんて絶対できない。時間はかかる。じっくり時間をかけないといけないんだけど、反面、時間は迫ってきているから急がなきゃっていうのもある。そうは思っても急ぐことはできないんだな」と中沢さん。Bubb & Gravityfreeが、ただの旅行者ではなく、村に根差して活動してくれることを求めながら、村の人たちとの間を取り持っている。


 
「これがきっかけで、冬にここに来て、わら細工して、なんだこの家はおもしろいなと。おもしろそうだから、何かやってみるかって、どぶろくを飲みながらさ、みんながそうなってくれれば頼もしいんだけどね」と中沢さん。

2015年はトリエンナーレの本祭が行われる。そこに向けて「出逢い DEAI」も歩み続けている。

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