ビーチで集うスーパームーンの夜

オーガニック&エコロジー

ビーチで集うスーパームーンの夜

2013年6月23日、地球に月が大接近するスーパームーンの夜。和歌山県和歌浦の砂浜に面したバー <バグース>に人が集い、静かな時間を共有する、<衣+食+住+音>と名付けられたイベントが開かれた。そこには震災後、多方面に移住した人たちの姿があった。

文=渡辺 亮/写真=中里佳世


<衣+食+住+音>というイベントは、来日中のアリシア・ベイ=ローレルのライブ、Little Eagleやkittaさんの衣類展示・販売、根本きこさんのお話会などが含まれたものだった。女性を象徴する月の存在が大きくなる夜に、女性から発せられる『祈り』のメッセージを共有する時間。

集まった人たちは、近隣に住む人たちのほかに、震災以降、関東から西日本に移住した人たちが多くみられた。移住した先は都会ではなく、豊かな自然のなかを選んだ人が多い。散り散りになっていた人たちが何かに引き寄せられたのか。さざ波の音に寄り添いながら、再会を祝し、夕方から夜にかけての時間を過ごした。

根本きこさんとkittaさんは震災以降、沖縄のやんばるに移住した。自然に囲まれた移住先でも、福島第一原発事故や沖縄の基地問題などに関わってきた。強い反発力が生まれる運動のなかで、なるべく優しい心を注ぎ込むことに意識を向けてきたという。高江のヘリパッド新設に対しては、「高江にはこんなに美しい自然があるから見て」というメッセージを含め、今の高江の現状を伝える新聞『新月新聞』を仲間たちと作った。



周りが暗くなり始めたころにアリシアのライブが始まった。 <バグース>の奥のスペースにつくられた洋服の展示会場とライブステージ。Little Eagleの衣をまとい、ギターを弾くアリシアの姿。聴くものを包み込む、温かい歌声。流れるようなフィンガーピッキング。海や森に響くような自然で軽やかなメロディー。波の音に合わせて女性たちがアリシアの後ろでフラを踊る。のちにステージは砂浜に移り、焚き火やキャンドルの火をアリシアとともに囲み、静かな時間を過ごした。見上げれば、厚く覆っていた雲がうす雲に変わり、しばらくして満月の光が覗き始めた。

沖縄から、九州から、四国から、もしくは関東から人が集まり、久しぶりの再会を果たす。変化の激しい日本社会のなかでそれぞれが自分の信じた道をいき、何かの機会にこうやって同じ場所に集う。そしてまた自分の場所に戻っていく。別れる際、『祈り』に通じた想いを抱く。そこには、距離を超えて、繋がっているという共同体意識があるように思えた。



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