土と平和の祭典インタビュー。9回目の2015年は「命こそ宝」がテーマ。

オーガニック&エコロジー

土と平和の祭典インタビュー。9回目の2015年は「命こそ宝」がテーマ。

都市と農村を人々がつなげることを目的にスタートした<土と平和の祭典>。TPPが大筋合意を迎えた今だからこそ、都市に住む私たちと農とのつながりが、より大切になってきます。大地に感謝する祭り<土と平和の祭典>のプロデューサー、ハッタケンタローさんにインタビュー。

 文=宙野さかな

 

–––<土と平和の祭典>は、今年で9回目の開催となります。どんなきっかけではじまったのでしょうか。

第1回目は2007年11月11日。その年は2002年に他界した藤本敏夫さん(学生運動リーダーから有機農業運動の先駆的な存在)の没後5周年。また団塊世代の大量リタイヤ『2007年度問題』が話題となり、藤本さんが提唱した『帰農』が次のライフスタイルとして注目された年でした。また食品偽装問題から、「食の安全」が大きくニュースに取り上げられた年でもありました。『ロスジェネ』の中で生まれた『「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。(赤木智弘朝日新聞社 「論座2007年1月号」)』が問題提起されたのもこの年。こうした時代の課題を受けて、私たちの回答は、藤本さんの遺志『農的幸福』を継ぐこと。それは『農』と『食』を中心に、これからの時代の「平和」や「豊かさ」、「生き方」の方向を見つけ出し、団塊世代とその息子・娘の団塊Jr(ロスジェネ)世代、そして新しく生まれてきた子どもたちの世代を結び直し(社会の縦のライン)、都市と農村を人々がつなげること(社会の横のライン)。そのための具体的な場づくりを行うこと。それが大地に感謝する収穫祭『土と平和の祭典』のミッションです。
この『土と平和の祭典』を企画・主催する『種まき大作戦実行委委員会』は、まさに都市と農村をつなぎ、世代をつなぎ、次の時代の種をまくためのアソシエーションとして立ち上がりました。

実行委員長は、藤本敏夫さんの娘で半農半歌手のYae(藤本八恵)。Yaeを中心にトージバなどメンバーなど団塊Jr世代が集まり企画・運営をし、その息子娘世代をサポートする団塊世代として藤本敏夫さんの妻である歌手、加藤登紀子さんが世話人代表を、藤本さんの盟友である高野孟さん(インサイダー編集長)、田中正治さん(ネットワーク農縁)、藤田和芳さん(大地を守る会代表)、渡邊義明さん(AFAS認証センター)、甲斐良治さん(農文協)、そして辻信一さん(スロームーブメント)など7人が世話人をつとめています。

 ––– 今年のテーマは「命こそ宝」。このテーマに込めた想いを教えていただけますか。

昨年の国際家族農業年に続き、今年は国際土壌年。そして第2次世界大戦から戦後70周年の節目をむかえました。まさに2015年は『土と平和』の年。にもかかわらず、先般の安保法案だけでなく、沖縄の基地問題。さらには福島の放射能汚染、原発事故の大きな禍根を残したまま川内原発の再稼働。そして企業利益、経済優先のためにTPPがはじまろうとしています。同時に裏では、JAの解体、減反政策の廃止、農地集約化、企業でも農地購入可能になるなど、大きく農政が変わろうとしています。(もちろん遺伝子組み換えの問題もはらんでいます)これらの問題に抗うために立ちあがった人たちの市民デモも、日常的にかつてないほど盛り上がっています。そう、私たちが住む日本という国は次の時代への転換期を迎えています。沖縄語で「命どぅ宝(ぬちどぅたから)」である「命こそ宝」は、沖縄の反戦平和のスローガンだと聞きます。土と平和の祭典には全国から多くの有機農家が集まります。「有機農業は土づくり」といいますが、多様な生命を支える『土』を大事する農業が有機農業です。「土こそ宝」なのです。

中村哲医師が率いるペシャワール会のメンバーでアフガニスタンに通う石橋忠明さんに直接聞いた話ですが、現在、会が活動するアフガニスタンにおいて、大規模な灌漑事業を行い、兵隊しか雇用のなかった不毛の土地が、農業ができる緑の土地に変わり、65万人の都市が生まれたそうです。「耕せる土がない」ということは戦争につながり、「耕せる土がある」ことは平和へとつながるのです。『命こそ宝』をスローガンに、『土』に根ざす生き方『有機農業』こそ、次の時代を『平和』へ導く鍵であることを提案します。

––– 10月初旬にTPPが大筋で合意という声明が発表されました。<土と平和の祭典>では、TPPをどう捉えていますか。

TPPについての問題点は多く指摘されていて、例えばそのプロセスの秘密主義、ISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)など多くありますが、『土と平和の祭典』では、農業の観点から、TPPの受け入れは「守るべき日本の稲作文化の崩壊」の道と考えています。安保法案の裏で、農協組織を約60年ぶりに抜本改革する改正農協法が8月28日に参院本会議で与党などの賛成多数で成立。確実にJA解体への方向に進んでいます。JAの功罪はさておき、日本全国の各地域の農村のにおいて生産物を買い入れてきたのはJAです。そのJAがなくなるというのは、農家は、新しい売り先を必要とする、ということ。それはどんな買い手か?激しい価格競争の中に、利益を求める企業の姿が見えます。彼らが求める価格に、農家はついていけるでしょうか?

多くの大規模慣行農家は、今でも大きな借金を抱えて農業をつづけています。例えば、企業が農業ができるようになるということは、農地を購入することができるということです。現在、借金づけで、機械や資材に買い入れ、農地に税金を払い、その上で価格競争の最前線に立つ。農家の暮らしや人生が、追い込まれるのはもはや自明の理です(農家に兼業が多いのは、単純に農業だけで生計が立たないし、借金が返せないからです)。そんな死活問題に悩む農家への企業の一言は簡単です。

「借金を肩代わりして、さらに農地をボーナスつきでまとめて購入する」という条件です。これが海外の企業だったら?TPPはその可能性を開きます。先祖代々受け継いできたそれぞれの田んぼが、近い将来、大型機械、遺伝子組み換え、農薬の使用によって大規模農業(まるで工場)のような多国籍企業の圃場となる。田んぼで米をつくっているが、地域の人はおろか、日本人の姿もない。そこで働くのは海外労働者、そして売り先は日本ブランドとして海外へ。今、国の農政がすすめる担い手農業の育成、大規模集約化は、いつか売りわたすためのシナリオのひとつだと勘ぐるのはボクだけではないはずです。TPPで見えてくる農村の将来に、日本の稲作文化はないのです。

––– はじめて参加する人のために、<土と平和の祭典>の楽しみ方を教えてください。

やはり第一はマーケット。全国から有機農家さんや生産者が直接、出店しているということ。それは『土と平和の祭典』最大の魅力です。安心安全は本来ラベルだけではなく、顔の見える関係を築くことだと思います。その土地で採れた美味しい食材をその農家さんとおしゃべりして購入できるチャンスです!ぜひ買い物とともに出会いを楽しんでください。そして出会いからぜひ農村へでかけるキッカケをつくってください。種まきファーマーズマーケットはコチラ

第2に食堂&酒場です。メニュー&ドリンクも充実しています!もちろんアルコールも含めて、すべてオーガニックです。 芝生の上にレジャーシートを引いて、家族と仲間とピクニック気分でゆったりのんびり愉しんでください。種まき食堂&酒場の出店者&メニューはコチラ

第3にコンサート。そして頑張っている有機農家さんを応援しよう!と歌手、加藤登紀子さん、Yaeさんをはじめミュージシャンに賛同いただいているコンサートも大きな魅力です。ライブの間の、農家トークも充実しています。『種まきビッグステージ』の出演者&タイムテーブルはコチラ

第4にトークステージ。今年も全国各地で農的暮らしを実践する仲間たちが「土の上に生きる幸せ」を伝えます。また世界の問題やこれからの日本の課題についても共有します。『土と平和のトークステージ』の出演者&タイムテーブルはコチラ

芝生広場では、子供が思い切り楽しめるよう、様々な遊びも用意しています。また赤ちゃんを持つお母さんには、授乳室も用意しています。家族や友達で、美味しい食べ物を食べて、素敵な音楽を聞きながら、今の時代が持つ問題の深刻さを感じつつも、目指すべき『幸福』の方角から、それを吹き飛ばす、風が吹くように。たんさんの方々に、これからの大きく広がる日本の有機農業や農的暮らしの『津と平和』の可能性を感じていただけたらと思います。

 

土と平和の祭典2015

開催日:11月1日(日)

会場:日比谷公園(東京都)

入場無料

出演:加藤登紀子、古謝美佐子、Yae、上間綾乃、Gocoo、

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