電力自由化で、電気はどう変わった!? 鎌仲ひとみ監督らによるトークイベント開催

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電力自由化で、電気はどう変わった!? 鎌仲ひとみ監督らによるトークイベント開催

文=甲藤麻美 写真提供=3+1 撮影=川久保ジョイ

9月11日、東京・渋谷のLOFT9で「3+1(サンタスイチ)」の主催による「Vol.3 デンキを選べば社会が変わる! 電力自由化でわたしたちにできること」というトークイベントが開催された。

『小さき声のカノン』の鎌仲ひとみ監督、『フタバから遠く離れて』の船橋淳監督が進行役となり、ノンフィクションライターの高橋真樹さん、鈴廣かまぼこグループ代表取締役副社長で、エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議代表理事の鈴木悌介さんをゲストに迎えるという豪華版。

2016年3月より始まった電力自由化で、何が変わり、何が変わらなかったのかを共有する場として、ざっくばらんなトークが展開された。

エネルギーシフトしたのは約2.7%に留まる


この日は広島東洋カープが25年ぶりのリーグ優勝を決めた翌日。
「僕はファンで、嬉しくて! カープは市民に支えられてきた球団。今回のエネルギー選択の話も、カープのように、応援する気持ちで選ぶということが大切かなというような話もしたいと思います」と船橋さんが話すと、会場が一気に和やかな雰囲気に。

冒頭、会場に集まった70名程の人たちに「電力自由化で契約を変更された方はいますか?」という問いが投げかけられると、手を挙げたのは3名。じつはこれは標準的な数字で、電力自由化以降、電力会社を変えた世帯は全国で約2.7%、首都圏で約4%に留まっているという。

船橋さんはこの状況を「物を買うのとは違って、電気は目に見えないからわかりにくいのでしょうね」と指摘。さらに高橋さんは、問題点として「食品の原材料表記のように、電気の種類や割合を示す電源構成がきちんと明らかにされていないこと」「送配電は未だに実質は東電(10電力会社)が握っていること」を挙げたうえで、携帯電話会社ガソリンスタンドなど大手の会社が算入している現状に「電気代が安くなるかとか目先の利益にとらわれないようにすることが大切」と警鐘を鳴らした。

電力会社、結局ドコがいいの?


エネルギーシフトを考える人たちのなかでも、「結局どこにしたらいいの?」と悩んでいる方は多いだろう。今回具体的に紹介された電力は以下の5つだった。

・みんな電力
・Looopでんき
・湘南電力
・生活クラブエナジー(組合員向け)
・パルシステム電力(組合員向け)

なかでも「Looopでんき」は船橋さんが最近実際に切り替えた電力会社だという。その魅力は「手軽さ」。驚くべきことに、WEBから10分程度で申し込みが完了したという。さらに初期費用に加え、基本料金も無料で、支払いは使った分だけというシンプルさも売りとなっているようだ。「携帯を変える手続きより簡単でした」と船橋さん。

このほかにも電力会社を紹介する資料が配布された。その内容は以下のページでも紹介されているので、ぜひ確認してみてほしい。
http://power-shift.org/choice/

100点満点の会社はまだ存在しない


とはいえ登壇者が口を揃えたのは「100点」という電力会社はまだないということ。「Looopでんき」も、ホームページ等では電源構成が明言されておらず、船橋さんが問い合わせたところ、再生エネルギー100%ではなかった(詳細は上記のURL内に記載)。

それでも、福島原子力発電所の事故があり、さらに放射性廃棄物の管理に10万年を要するといわれるなかで、エネルギーシフトの意義は大きい。
「原発の廃炉負担金を、新電力にも負担させようというようなとんでもない話も報道されました。原発は地域間融通等を行えば簡単にできるはずの省エネなどはまったく考えず、『いかに多く電力を使わせるか』と考えて54基もつくってしまった」と鎌仲さん。
電気を湯水のように沸いてくるものと捉えるのではなく、省エネを意識しながらシフトチェンジしていくことが鍵になりそうだ。

省エネしながらエネルギーシフト!


その具体的な策も話題に上る。「日本の家は断熱が致命的に遅れています。だからエアコンが異様に進化してしまった。これは本末転倒です。エアコンが必要のない家にすることは、技術的にもうできることなんです」と高橋さん。例えば日本の家のサッシはほとんどがアルミ。これを樹脂製にしたり、二重サッシにするだけで、断熱効果が格段に上がるという。

また鈴木さんからは「エネルギーというと電気の話になりがちですけど、本当は『熱』なんです。そこに気づかないといけない。電気に変えなくても、熱や光は充分にエネルギーになるんです」という話も聞かれた。
鈴木さんが副社長を務める小田原の鈴廣では、2年前にエネルギーをすべてを湘南電力に切り替え。さらに今年、太陽光パネルや太陽熱使用給湯システム、地中熱や地下水も活用し、二重サッシなどを取り入れた社屋を完成させた。エネルギー削減率は54%にものぼるという。

エネルギーを自分ゴトとして考える


「シフトチェンジをしない人の一番大きな理由は『面倒くさい』なんだそうです。もちろん、電力自由化は完璧ではありません。制度は問題だらけだけど、地産地消がこれからの日本の方向性かなと思います。その一歩のために選択してほしいです」と鎌仲さん。また高橋さんも「選挙でも100%自分と同じ意見の人はいないですよね。電力会社を選ぶことは、傍観者ではなく、参加していくきっかけになるんだよということを伝えたいです」と話した。

「3+1(サンタスイチ)」のイベントは今後も続いていくとのこと(次回は12月開催を予定)。誰が聞いてもわかりやすい、エネルギーの話。今後もぜひ注目していきたい。


3+1(サンタスイチ)

河合弘之さん(映画『日本と原発』監督)、鎌仲ひとみさん(映画『小さき声のカノン』監督)、船橋淳さん(映画『フタバから遠く離れて』監督)の3監督の作品を共同上映していくプロジェクト。また、3名の監督に「+1」のゲストを加えたトークフォーラムを3ヶ月に一度開催。原発・エネルギーを基礎に、子どもの貧困、ヘイトスピート、安保法制、憲法改正などの問題を掘り下げている。
http://3tasu1.com/

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