火のある暮らし 長野修平

オーガニック&エコロジー

火のある暮らし 長野修平

文・甲藤麻美 / 写真・依田恭司郎

冬の気配を感じると、必ず火が恋しくなってくる。けれど都会暮らしの身としては、火にあたるためにはキャンプ場に行くというのが常となっている。日常に火を取り入れた生活を送る人は、今、どれくらいいるのだろう。

木や草や竹や蔓など、自然の素材を使って家具や食器、カゴなど、身の回りのありとあらゆるものをつくる、ネイチャークラフト作家の長野修平さん。13年余前に古民家暮らしを始めて以来、自宅で薪ストーブを使っている。

「薪ストーブのよさは、ほかの暖房と違って、遠赤外線効果で家全体を暖めてくれるところ。木の家との相性がよく、蓄熱効果もあるからさらに暖かいんです」

今年5月、神奈川県相模原市に半セルフビルドの家を建て、引越した長野さん。ロフトや階段部分など、今も家づくりをしながらの生活。熱効率の高い薪ストーブは、なくてはならない存在だ。

「暖かさだけではなく、除湿効果が高いから、洗濯物もよく乾く。薪ストーブの上の部分は熱くなるから、お湯を沸かしたり、ときには料理をしたり、コンロと同じように使える。それから、灰受けの部分はオーブンにもなるんですよ。野菜を入れておくと、これが抜群においしい。最後に残った灰は、自分の畑に蒔いたり、あとは灰が欲しいというおじさんのところに持って行くと、野菜や米に化けたりします(笑)」

長野さんのご自宅の裏には、雑木林が広がっている。樹木の切り株から出た新しい枝『ひこばえ』を切り出したり、家を建てたときの端材、人からもらった木材など、薪を購入したことはほとんどないという長野さん。それでも、「薪だからいいや」と考えるのではなく、電気やガスと同じ、限りある熱源と捉えることで、薪ストーブの利用価値は2倍にも3倍にも上がっていくのだ。

「娘も火は大好きですね。薪ストーブも、『危ないから近寄るな』ではなくて、一緒にやるっていうことが大切なんだと思います。最初だけ徹底的に教えてあげれば、子どもは火への関心が高い分、すぐに覚えてくれますよ」

長野さんにとって木は、ときに作品づくりの材料であり、ときに薪となるもの。「どの木を作品に使い、どれを薪にするのかは、日々勝負」なのだと言います。

「星野道夫さんの本に『旅をする木』というのがあります。これに、森の木が川を流れ、海にいって、流木となり、砂地にあげられる。それぞれの過程で動物の住処となり、最後役目を終えたときに、誰かが来て火に焼べるという話があって、すごく印象に残っているんです。僕は今、森がすぐ近くにあって、木でいろんなものをつくるのが好きで、最後は薪にもできる。その循環に、自分がかかわりながら見届けることができるというのは、ありがたいことだと感じています。それでも、自分で材料を集めてつくったものが壊れ、燃やすときは、やっぱり寂しいですけどね」

長野さんの暮らしのサイクルは、自然とともにある。初めから同じようにはいかなくても、もしかしたら薪ストーブが、日常と自然とをつなぐ、接点になってくれるかもしれない。そんなことを思わせてくれるお話だった。薪ストーブのあるログハウス暮らしの夢は、膨らむばかりだ。


長野修平
1962年、北海道の山菜料理店を営む一家に生まれる。13年余前から、ネイチャークラフト作家として“手作りの暮らし”を開始。ワークショップ開催のほか、雑誌『BE-PAL』、『カルヴィ』、『ドゥーパ!』、ダッジオーブンLODGEのHPなどでも連載中。


総合展示場「BESSスクエア
BESSの家は木をふんだんに使っているから、薪ストーブとの相性が抜群。展示場では実際に薪ストーブを焚いているので、その暖かさが体感できる。また、BESSの展示場は、受付を済ませば自由に見学できるので、アミューズメントパークに遊びに行くような感覚で過ごすことができる。具体的な家の計画がなくても楽しめるので、ぜひお近くの展示場へ。

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  88 35号(2013.10.31)


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