フェスで提示する未来のビジョン 佐藤タイジ

フェス(祭り)

フェスで提示する未来のビジョン 佐藤タイジ

文・菊地 崇/写真・宇宙大使☆スター

2014年8月に開催された〈ROCK IN JAPAN〉で、佐藤タイジはシアターブルックのライブの際に、想いを直筆の手紙にしたため、それを読んだ。要約するとこういった内容だった。

<90年代からシアターブルックはロックフェスで演奏してきました。ロックフェスは未来の社会のサンプルなんだと思います。3.11は人類につきつけられた最大の難問です。『果たして人類は、原子力エネルギーをコントロールできるのか?』。日本の、いやこの星の将来を担う若者がたくさん集っています。ここにいるみんなが、どれくらいの危険にさらされているのか、知る権利はあると思います。できることはたくさんあると思います。お願いです。勇気を持って、未来の新しい社会のために、放射線量をわかりやすく表示してください>

インタビューで繰り返し口にしてきたことを、フェスという舞台で、多くのオーディエンスに向かって投げかけた。

「フェスは重要な役割を担っている。新聞やテレビなどのメディアが伝えられないことを、直に多くの人に伝えられる場。責任を背負っているんですよ。だから大丈夫か、大丈夫じゃないかっていうのはオーガナイザーじゃなくて、ユーザーが決めることじゃないかって思っているんです。ユーザーが判断できるような情報をわかりやすく提供する義務があると思うんです」と佐藤タイジ。

佐藤タイジがオーガナイズするフェスが〈中津川 THE SOLAR BUDOKAN〉だ。ステージ横に並んだソーラーパネルは壮観な光景だ。ここまでやれば、できるんだという実例が眼の前に現れる。2013年もフードの放射線量を表示した。2014年はさらに食べものだけではなく空中の放射線量も表示するという。

「未来像は、みんなで新しくしていかないとダメなんですよ。手紙にも書いたけど、フェスで実施したゴミの分別とリサイクルのシステムは、今では社会に応用され、我々の生活に還元されている。〈中津川 THE SOLAR BUDOKAN〉は、少しでも未来を提示したい。みんなが希望を持てる未来を示したい」

2014年、シアターブルックが出演するフェスには、自分たちでソーラーパネルと蓄電池を持ち込んで、ソーラー電源でのライブを続けている。「エネルギーの問題だけではなく、集団的自衛権の問題もある。変な時代になっちゃいましたよね。でも、だからこそ諦めないで続けていかなきゃいけないと思っています。続ければ、少しずつわかってくれる仲間も増えていく。何回も負けるかもしれないけど、勝つまでやめないっていう意志を持って、賛成できる仲間を増やしていきたい。ソーラー電源でのライブは、音もいいし、やっていて気持ちいい。それを音楽仲間には伝えていきたいし、やがて大きなうねりになっていくと思っています」

ソーラー電源だけで野外フェスをまかなう。誰もが無謀と思っていたことを実際に完遂することができた。一歩ずつ、自分たちが描いた未来に近づける。それを佐藤タイジは続けている。今年も〈中津川THESOLAR BUDOKAN〉は、太陽光から生まれた電気だけで開催される。
     

P r o f i l e 佐藤タイジ
3.11以降、〈LIVE FOR NIPPON〉という復興支援イベントをほぼ毎月開催。2012年12月には、ソーラー電源だけで武道館のライブを成功させた。シアターブルック、インディーズ電力、ソロなど、さまざまなスタイルでソーラー電力による音楽の可能性を求め続けている。

CD インディーズ電力『はじめての感電』 
フォーク&ロックにストレートなメッセージを乗せるインディーズ電力の第一作。目指すのは「地域ごとに適応した、地域ごとの責任で作られる、新しいエネルギーの確保」。今の時代に歌は社会に何を及ぼすのか。その実験ニカルに行っているのかもしれない。


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