天国に舞い降りたサイケデリックの導師 PHIL LESH FUJI ROCK 2014.07.26

フェス(祭り)

天国に舞い降りたサイケデリックの導師 PHIL LESH FUJI ROCK 2014.07.26

 文・菊地 崇/写真・林 大輔

1999年のPHISH、2002年のSTRING CHEESE INCIDENT、2011年のWIDESPREAD PANIC…。それら<フジロック>フィールド・オブ・ヘブンで繰り広げられてきた歴史に、今年も新しい伝説が1ページ加わった。

原稿としてレポートを残す際に、「伝説」という言葉を使いたくない。その言葉が持つイメージがあまりに大きいから。そして一夜一夜の体験が「伝説」という言葉で括られたくないから。でも2014年だけは「伝説」という言葉しか使えない。


1965年のグレイトフル・デッドの創設メンバーであり、デッドの司令塔と言われたフィル・レッシュが、息子たちとのバンド、テラピン・ファミリー・バンド(TFB)とともに<フジロック>のステージに上がった。95年のデッド休止以降も、勢力的にライブ活動を続けてきている。サイケデリック〜ジャムという文化を繋いできた音楽史の最重要人物のひとりと言っても過言ではない。98年に肝臓移植手術を受け、長旅は不可能と真しやかに伝えられてきただけに、フィルの来日ライブには特別な想いを抱いて参加したヘッズが少なくなかった。


タイダイのTシャツを着たヘッズがヘブンに集う。サウンドチェックのために、フィルがステージに現れた。その瞬間に、声にならない音をともなって、ヘブンが異様な空気に包まれた。眼の前に「伝説のベースプレイヤー」が立っている。そして「NEW SPEEDWAY BOOGIE」でライブがスタートした。


数多くのテープやCDで聞いていたフィルのベース音。あるときは天から轟き、あるときは地面から這い上がってくる音。「図太い」という言葉だけでは収まりきらない独特な音。TFBの演奏が続いていくにつれ、フィルの存在感が浮き上がってくる。ベースに身体のリズムを合わせていく快感。踊るのではなく揺れていく。

あっという間に、アンコールの「BOX OBF RAIN」でショーは終わった。まさにこここそが「天国」となった幸福な時間だった。


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