ビルやマンションが林立している東京都心部では、なかなか野外フェスが開催できないのが実状だ。都市型ではなく、ライブだけではない多様なコンテンツを有する自然と密接した雰囲気のフェスに限定すれば皆無に等しい。この<豊洲野音CARNIVAL>は、都心部で開催されるフェスにも関わらず、野外にいる気持ちよさを感じさせてくれるフェスだった。

東京タワーとスカイツリーが見られるロケーション。空が広く抜けている。もちろんそれも気持ち良さの大きなファクターになっているだが、それだけではないフェスだけにしか感じられない共有感が存在しているのだ。
フェスのオープニングを飾ったのが渋さ知らズオーケストラ。大所帯のバンドが生み出すグルーブは、<豊洲野音>を独特なものに決定づけたのかもしれない。その後も、SOIL & “PIMP”SESSIONS、EGO-WRAPPIN’、クラムボンと、日本のフェスを盛り上げるバンドのライブが続いた。

ライブだけではなく、CARNIVALとしてフェスを盛り上げたメニューもあった。サンバ、アフリカンジャンベ、阿波踊りなど、世界の「踊る祭り」が場内を練り歩いて、CARNIVALとしての色彩を強めていった。そして2015年の<豊洲野音CARNIVAL>のエンディングになったのが、佐渡の鼓童に在籍していた吉井盛悟さんと飽田の西馬音内盆踊りのセッション。西馬音内盆踊りは日本三大盆踊りにあげられているほどの伝統ある踊りだ。
日本の伝統と世界の祭りをフェスのなかに混入させていくこと。
これが<豊洲野音CARNIVAL>の独創的な雰囲気を演出していた。都心で開催される野外フェスは気軽に行けるのも大きなポイントだ。

LJ039