沖縄・世界という場所と過去・現在・未来という時間をチャンプルー。残波JAM 2014.11.08-09@残波岬公園  沖縄・読谷

フェス(祭り)

沖縄・世界という場所と過去・現在・未来という時間をチャンプルー。残波JAM 2014.11.08-09@残波岬公園 沖縄・読谷

4回目の開催となった<残波JAM>。
沖縄という場所から発信される、日本へ、世界へ、そして未来へ向けた提言。
チャンプルーという文化のなかで、熟成されていく想い。


文=寺野正樹/写真=林 大輔



日本の夏フェスを締めくくる<残波JAM>。

冬の到来を感じさせる本州とは違い、晴れていれば泳ぐこともできるなどまだまだ夏の気配が残る沖縄。そんな沖縄県の本島中部にある残波岬公園を舞台に開催された<残波JAM>。

震災以降沖縄県に拠点を移した三宅洋平を中心に、「沖縄にも質の高いローカルフェスを!」と、県内外の仲間たちで作り上げるイベントとして2011年にスタートし2014年で4回目。毎年11月に開催されることもあってか、長いフェスシーズンを駆け抜けたアーティストやパーティピープルが1年の締めくくりにと日本全国から集結するイベントとして、徐々に知名度もアップしてきている。

雨の確率60%の予報で、初日の早朝は嵐のような天候だったものの、時間とともに小雨に。そして、ライブがスタートしたとたんに晴れ間が見えるなど、嬉しいミラクルからのスタートになった。

美しいリーフが広がる残波ビーチのすぐ裏手にある会場は、ライブステージとDJステージの2ステージからなり、その奥にはキャンプサイトのほか、バリエーションに富んだマーケットエリア、トランポリンなども備えられたキッズスペースや、さらにはスケートパークなど、音楽以外のコンテンツも盛りだくさん。

アーティストは三宅洋平率いる(仮)ALBATRUS、フェス番長Dachambo、ジャズシーンでも評価の高いCro-magnon、活動休止を発表したKINGDOM☆AFROCKSといった全国のフェスでよく見かけるおなじみのメンバーから、PJ率いるレゲエバンドPEACE JOINTS、RITTO & DJ CHEEBAといった沖縄を代表するミュージシャンも多数参戦。

DJにはレゲエ・ダブ界のリビングレジェンドJAH SHAKAをヘッドライナーに、HIKARU、YOGURT、ALTSなど、レゲエからヒップホップ、ダンスミュージックと個性的なラインナップが続く。

このメンツだけでも楽しそうなのに、天気も最高。2014年の最後の野外フェスということもあってか、それぞれが過ぎ行く夏を惜しむかのように楽しみながらプレイし、また、オーディエンスも開放的な雰囲気に思い思いの「LAST SUMMER DANCE」を存分に楽しんだ。



大トリ「座喜味エイサー」が意味すること。

特徴的だったのが、地元沖縄とは逆に北海道のアイヌを代表するOKI with special bandや、1970年代から沖縄を拠点に活動するロックバンド・紫、レゲエ・ダブ界のリビングレジェンドJAH SHAKAをジャマイカから迎えるなど、沖縄ローカルのうちなーんちゅには沖縄以外の日本や世界のアーティストを紹介し、また沖縄以外の人たちには沖縄ローカルアーティストを知る機会としても最高の場になっていたこと。

さすが「チャンプルー文化」だけあって、北と南、日本と沖縄、世界と日本が違和感なく混じり合うのも沖縄ならではだろう。

さらに、この<残波JAM>を象徴するシーンが見られたのは、2日目の夜、ヘッドライナーとなる(仮)ALBATRUSのライブが終わってからだった。

フェスを締めくくる大トリを務めたのは「座喜味エイサー」。「エイサー」とは沖縄や奄美諸島に古くから伝わる伝統芸能。「座喜味」とは<残波JAM>が開催された読谷村にある世界遺産・座喜味城趾近辺の地名。つまり「座喜味エイサー」とは、会場の地元・座喜味の若者を中心とした一団のこと。

それは、オーガナイザー・三宅洋平の祭りを開催させてくれた地元に対する“感謝”と、伝統を守り続けてきた今に対する「尊敬」、そして、自分たちが新しい祭り、歴史を作っていくという未来に対する「決意」のようにも感じられた。



人が集まることで生まれる「熱」が力になる。

座喜味エイサー一団を紹介する前、ライブを終えた三宅洋平は、「まだここに集まった人たちは少ないかもしれないし、普段の生活に戻ったらマイノリティかもしれない。でも、いろんな人が集まって、本気でチャランケして意見を言い合い確認し合うのも大切じゃない? その熱がエネルギーになって力になる。そしてひとりひとりが、誰かに想いを伝えることで、やがてそれがもっと大きな力になる」と、人が集まることで生まれる「熱」や「祭り」の大切を語った。

座喜味エイサーの一団が数曲披露した後、「最後はみなさんと踊りたいと思いますので、ぜひご参加ください」とアナウンスがあったとたん、それまで静かに見守っていた周りのオーディエンスが待ってましたと一団と混ざり合い、宴会状態の大盛り上がりに!

音楽、人が集まる祭りを通じてカルチャーの違い、洋の東西南北といった空間だけでなく、今と昔、そして未来という時間をもチャンプルーした<残波JAM>は、まさに「大団円」を迎えてめでたく終了した。

日本の端っこから起こった小さな波紋は、4回を重ねて確実にさざ波になりつつある。いつかうねりになる日を夢見て。出演者、スタッフ、参加した人みなさん、最高の「LAST SUMMER DANCE」をありがとう。



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