市と市民が共に創り上げるフリーフェス、三条楽音祭。野外フェスの未来系がここにある。

フェス(祭り)

市と市民が共に創り上げるフリーフェス、三条楽音祭。野外フェスの未来系がここにある。

新潟県三条市のキャンプ場で開催される入場無料の秋フェス。2009年にスタートし、今年で8回目の開催となる。地域を盛り上げようと、市と市民が一緒に作り上げているフェスだ。なぜ入場無料にこだわり続けるのか。数万人を集めるビッグフェスにはない、地方発信のフェスの魅力がここにあるに違いない。三条楽音祭実行委員長の大橋賢太さんに楽音祭への思いを聞いた。


–––– 三条楽音祭を立ち上げた理由を教えてください。

三条楽音祭は、先代の委員長が中越沖地震の復興イベントをしていたところを新潟日報に取り上げられ、過疎化の進む三条市下田地域の活性化を目指す三条市からオファーがかかり、市と市の若手がタッグを組んで開催するフェスとして、2009年に始まりました。

1年に1度、下田地域に県内外から若者が集うイベントとして地元に住む人々や行政の職員の皆さんからも助けられ、今回で8回目の開催に漕ぎ着けました。

相変わらず若者が少ない地域ですが、のどかな田園風景が広がり、野菜やお米がすごく美味しい地域です。三条楽音祭に遊びに来てくれるお客さんには、是非、地元のお店や宿で下田の名産品を味わって素晴らしさを体験してもらいたいと思っています。

–––– 会場の中浦ヒメサユリ公園とは、どういう場所ですか?

前の質問でも言ったとおり、とにかく豊かな自然に囲まれた森のキャンプ場です。下田の方々が毎日草刈りや地面に手入れをしてくれています。そんなに広い会場ではないのですが、整備されすぎているということがないので、自然に身を委ねられる、居心地のいい空間なんです。夜になると、星がとてつもなく綺麗で、ずっと空を眺めてしまうような最高のロケーションです。携帯の電波も繋がりにくいような場所なので、三条楽音祭当日は日々の喧騒から離れて、音楽と自然に身体も心も揺らしてほしいですね。


–––– ヒメサユリ公園まではシャトルバスでしか行けないのですか?

会場隣接の駐車場が狭いため、当日は出店者さんと関係者の車で毎年埋まってしまうんです。だから、今年は会場からバス20分くらいのところに臨時駐車場を3箇所、用意しました。

例年、市内を循環していたバスを、今年は駐車場~会場間のピストン運行にすることで、いつもよりアクセスしやすくなりました。これも三条市の職員の方が全面的に協力・交渉して頂いたおかげです。感謝感謝。

※駐車場・バス情報

–––– フリーフェスにこだわり続ける理由とは?

その時お金が「ある・ない」でイベントに「来れる・来れない」が決まるのは市と一緒にやるイベントだからこそ、おかしいだろう、というポリシーでイベントを運営しています。僕らの目的は下田地域や三条市をより多くの人に知ってもらい、楽しんでもらうことなので、交通の不便はありますが、なるべく来場するハードルを下げて、多くの人に楽しんでもらいたいという一心で無料フェスを一貫しています。

–––– いつかキャンプインの2日間の開催にする予定はありませんか?

キャンプ場はあまり大きくはないので、キャンプインは考えていません。ただ、会場以外での前泊はオススメです!三条市にはsnowpeakや八木鼻キャンプ場などのキャンプ場、ナチュールライフという古民家宿泊所もあれば、「嵐渓荘」という有名な温泉もあります。前日、キャンプ場や宿へ宿泊して、シャトルバス臨時駐車場へ移動、手ぶらで会場INも可能なので、各々のスタイルで三条市を楽しんで想い出を作ってもらえれば最高ですね。

※三条市のキャンプ場・宿泊所

snowpeak

八木鼻キャンプ場

ナチュールライフ

嵐渓荘


–––– 「若者と行政が一緒に作り上げる」フェスとのこと。このフェスをきっかけに、三条のどんな未来を描いていますか。

音楽フェスを主催する立場としては、やはり音楽の力で地元が賑わうことが何よりも嬉しいです。今年は地元の大学生や、東京からUターンして帰ってきた人も実行委員会のメンバーで活躍してくれてますし、なんと2013年のイベントで横浜から手伝いに来てくれたスタッフが三条で結婚して引っ越してきたというニュースも飛び込んできました(笑)。もっと多くの人がこのイベントに参加しに来てくれて、地方だからこそ出来る自由でアイリーな空間にしていきたいと思ってます。ちなみに、当日のボランティアもまだまだ募集中です。

それと、もうひとつは三条市は隣の燕市と共に金物産業で有名な街です。snowpeakをはじめ、包丁の「タダフサ」さんや爪切りで有名な「諏訪田製作所」さん、お箸の「マルナオ」さん、一枚の銅板を叩いて銅器に仕上げる鎚起銅器の「玉川堂」さん、磨きの達人集団「磨き屋シンジケート」さん…など、数え上げたらキリが無いほど多くの職人さんが日々、技を磨いてる地域なんです。僕自身、地元を離れて東京に住んでいた時にところどころで耳にする故郷の技の評価に胸を熱くしました。ものづくりに関しては日本有数の名産地なので、地元の企業さんとも少しずつコラボレーションして、ワークショップや物販を通して、燕三条という地域を来場してくれたお客さんに知ってもらうための場作りをやっていけないか、と模索中です。

余談ですが、少し前に「音楽フェスに政治を持ち込むな」なんて声がネット上で話題になりましたが、三条楽音祭は持ち込むどころか行政と一緒に音楽フェスを作り上げてます(笑)。このイベントみたいに行政と実行委員会が共催で開催するイベントは珍しいかもしれませんが、どこも行政の協力を仰いでみんなが楽しめる場作りに努力してると思うので、賞賛・批判併せて政治も音楽も色眼鏡無しで考えられるようになるといいなぁ、と個人的には思いますね。

※燕三条地域の企業(一部)

包丁工房タダフサ

諏訪田製作所

マルナオ株式会社

玉川堂

磨き屋シンジケート


–––– 今年の特徴を教えてください。

例年、物販・飲食・ワークショップ・ライブの4本立てだったんですが、今年からスケボーエリアを作り、ランプを設置します。地元のプロスケーターF3こと太田真史氏にパフォーマンスをしてもらったり、スケボーをお客さんにも楽しんでもらったり、今までには無かった角度からも楽しめるエッセンスをプラスしました。

また、新潟各地のアーティストがライブペイントを行ったり、ROOT SOUL(4piece) feat.Keycoの演奏では三条市のダンススタジオstudio fの子どもたちが生演奏と一緒に踊るという試みに挑戦したり、と例年に無いパフォーマンスが増えました。

有り難いのは、みんな、三条楽音祭のために何も言わずに準備を進めてくれていて、とにかく話が早いんです(笑)。超ポジティブマインドの新潟クルーが会場のあちらこちらでパフォーマンスしてくれるのが心待ちですね。

F3(太田真史)

studio f

–––– 9月中旬、東京ではまだ夏の名残が予想されます。三条ではどんなスタイルがマッチしていると思いますか。

三条はのどかな自然とストイックな職人と心優しい人々が同居する街です。だからこそ、三条楽音祭はステージも何もかも手作りで運営できています。この街には、お金を使った大型フェスよりも、みんなの気持ちで作り上げる、手作りで人情味の溢れるフェスがマッチしていると思います。地元産業の特性を活かしたものづくりワークショップを開催できれば、他に無い個性を持ったイベントになると思いますが…それは来年以降のお楽しみですね。

ちなみに新潟もまだまだ日中は暑いです。ただ、夜になると会場付近は肌寒くなることもしばしばなので、上着の持参を強くおすすめいたします!

三条楽音祭に集まってくれるみんなが、三条と自然と音楽を心から楽しんでもらえますように!

ご来場お待ちしております!


三条楽音祭

会期:9月11日(日) 12時~20時30分

会場:新潟県三条市中浦ヒメサユリ森林公園

出演:LITTLE TEMPO、bonobos、Dachambo、ROOT SOUL-4piece- feat.Keyco、Soulcrap




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