漁師の誇りである大漁旗を再生し、津波被災地の祈りを届ける。 FUNADE 田中鉄太郎

ローカル(日本)

漁師の誇りである大漁旗を再生し、津波被災地の祈りを届ける。 FUNADE 田中鉄太郎

文・宙野さかな/写真・宇宙大使☆スター

東日本大震災の1カ月後、災害ボランティアとして石巻にやってきた田中鉄太郎さん。期間を決めず、自分で納得できるまで復興のために活動をする。そんな強い決意を持っての被災地入りだった。石巻に来る以前は、京都を拠点にブランドを展開していた。

「地元の人たちはどうしていくんだろう。いくら国から補助をもらってもお金は使い果たしてしまうもの。働くことが精神的にも経済的にも自立に繋がる。雇用を生み出すことが大切」と感じはじめていた田中さんが、偶然に出会ったのが大漁旗だった。2011年夏のことだ。

「車で走っていたら、崩壊した建物に大漁旗があるのが眼に飛び込んできて救出したんです。それをきっかけに漁師さんに『大漁旗でものづくりをしたい』と伝えたら、『これを使ってくれ』と多くの漁師さんが段ボールに大漁旗を入れてもってきてくれたんです」

数日のうちに集まった大漁旗は300近くになったという。一枚一枚が違うデザインで違う色の大漁旗。そのすべてに漁師と海の物語がある。その大漁旗を使って、バッグや帽子などのアイテムが生まれていった。ブレスレットを編んでいるのは、津波で職を失ったお母さんたちだ。

「津波に遭ったのは沿岸部で漁業の町じゃないですか。船のシンボルが大漁旗なんですよね。豊漁を願って贈られた大漁旗。その大漁旗を使って地元のお母さんたちがものづくりをする。これって祈りの形なんですよね」

大漁旗という石巻の地域特性を内包したブランドの名は <FUNADE>。「『フナデ』には新しい生活のはじまりという意味があるんですよ。それとこの商品たちがそれぞれの人のところに旅立っていく。その両方の意味をかねて名付けました」

震災後には瓦礫や泥に埋もれた石巻の市街地に <FUNADE> の工房&ショップがある。田中さんは泥かきから石巻での一歩をはじめた。そして今、田中さんが泥かきをした市街地の工房から祈りが届けられる。


FUNADE 石巻市中央町1-4-3
京都を拠点にブランドを担っていた2011年春。災害ボランティアとして、震災1カ月後に石巻に入った。被災地で知り合った漁師から大漁旗を譲り受け、石巻発信のブランドとしてスタート。2012年3月11日にネット販売を開始した。震災直後は、瓦礫と泥で覆われた市内に工房&ショップをオープンしたのは2013年5月のこと。「津波災害でゼロになった町だからこそ、今までの日本にない町の再生、町づくりのチャンスがあるはず」と田中さん。「伝統がある新しい日常」を目指し、石巻での活動は続いている。

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