フェスという場から発信される文化創造コミュニティ。HOLA! AMIGO 2014.11.08 @華山1914 台湾・台北

トリップ(旅)

フェスという場から発信される文化創造コミュニティ。HOLA! AMIGO 2014.11.08 @華山1914 台湾・台北

台北で開催されたフリーフェスに、Gravityfreeとリクルマイ、そして多くのベンダーが参加した。言葉の壁を超えるフィーリング。絵と音とグッズによるコミュニケーションの行方。

文・写真=宙野さかな



フリーマーケットという台湾の文化から。

アウトドアとリンクした日本の野外フェス。アメリカやヨーロッパといった、フェスの本場とも違う文化が、日本では独自に進化している。

台湾も、ここ数年でフェスに注目が集まっている。けれどそのフェスはライブが主流で、他の文化が混入されることは稀だという。

<ホーラ ! アミーゴ>は、5年前にキャンプ場を会場にして小さなキャンプイン・フェスとしてスタートした。台湾では、キャンプイン・フェスはおろか、キャンプ自体もそれほど市民権を得ているわけではないという。

「キャンプスタイルのフェスは、時期尚早だったのかもしれないですね。台湾の人は、ひとつのことにハマると、それに集中する傾向があるんです。多くの友人が、フェスやキャンプにどっぷりハマっています。そのことを考えると、実際に知ってもらう場所を作ることが、今の台湾には必要なんだと思っています」と<ホーラ ! アミーゴ>をオーガナイズする土井健司さん。

ライブ、アウトドア、そしてファッションというファクターを、どうひとつの空間のなかで構築していくか。その道程のひとつとして試みたのが、フリーマーケットだったと土井さん。

「フリーマーケットは、台湾のいたるところで行なわれています。もちろん夜市などのバックボーンもあるんでしょうけど、野外マーケットを楽しむ土台があるんですね。フェスという空間を楽しみ、日常にその楽しみを戻す。日本では都市のなかでアウトドアを着ることは定着していますが、台湾ではまだまだ発展途上なんです。音楽とアウトドアとファッションがどう結びついているのか。それを自分たちがどう楽しめばいいのか。それを<ホーラ ! アミーゴ>で見せてあげたいんです」

土井さんは、キャンプ場などの自然に近い場所ではなく、あえて台北の市内で開催することにシフトチェンジした。2013年はショッピングセンターで開催。そして2014年は、台北のトレンドスポットである華山1914文化創意産業園區で行なわれた。この華山1914文創園區は本誌34号でレポートしたrovoの台湾公演が行なわれたライブハウスなども有する再開発地区で、アートの展覧会も頻繁に開催されている。



台湾での場作り。

フリーマーケットからフェスへ。野外での楽しみを台湾に紹介し、定着させていく。そんなビジョンを<ホーラ ! アミーゴ>は有しているに違いない。 <OJAGA> をはじめ、以前から日本からも多くの出店者が参加していた<ホーラ ! アミーゴ>だが、2014年はライブペインティングでGravityfree、ライブでリクルマイを招聘し、日本のフェス色がフィーチャーされていた。

今でこそ、フェスなどでライブペインティングを見る機会が多くなってきたけれど、10年前は特別なものだった。フェスは、音楽もデコレーションも食も、そしてファッションも、すべてがアートであるような気がする。総合的なアートな空間。それがフェスの多様性を構築しているのだろう。誰もが入りやすい扉をフェスが持っている。

台湾のほとんどの人が、ライブペインティングを見たことはなかったに違いない。
Gravityfreeが絵を描きはじめると、人だかりとなっていた。刻々と表情を変えていく絵に、引き寄せられていた。アートもフェスの一要素になるんだと、そこで見ていた人たちは感じていた。



リクルマイは、レゲエではなく、民謡調の唄を日本語で唄った。言葉ではなく音楽で繋がること。例え歌詞の意味がわからなくても、ミュージシャンの声や奏でる音に触れることによって、フィーリングは伝わってくる。

日本人のアーティストやミュージシャンが、現地で自分たちを表現する。ステージに立つ彼らだけではなく、自分が扱うアイテムや自分が作った料理を持っていき出店していたベンダーもまた日本を代表する表現者なのだ。そのひとりひとりが、台湾でコミュニケーションをはかっていく。邂逅と実践の場、それがフェスなんだと思う。

フリーマーケットというよりも、フリーフェスと言っていい<ホーラ ! アミーゴ>。人と人が同じ場所で、同じ音楽を聞き、アートを共有し、そこにいることを楽しむ。能天気に考えれば、ここから新しい交流がはじまるのだろう。国や政治、歴史のことを考えることももちろん大切なのだけど、この能天気なスタンスこそ、人と人を繋ぐ部分では重要なのだ。

私たちには「場」が必要なのだ。フェスであり、音楽が流れるライブであり、人が集うコミュニティであり。その意味では<ホーラ ! アミーゴ>のフリーという形態のフェスは、場作りのはじまりとしては、うってつけなのだろう。


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  Lj 37号(2014.12.25)

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