砂が舞う土地に緑の森を 〜中国内モンゴル沙漠化事情 no.3  植林への道のり

トリップ(旅)

砂が舞う土地に緑の森を 〜中国内モンゴル沙漠化事情 no.3 植林への道のり

文・B.セルゲレン/写真・片岡一史

現地に適した木を現地の人たちが植える

日本の方々の協力を得て、植林活動をはじめて10年になります。私が主催している内モンゴル沙漠化防止植林の会でも、これまでの経験をふまえて、いくつかの指針を示す必要を感じています。

その指針のひとつは「経済林」という考え方です。

いろんな方々が環境意識から必要性を感じて植林をしたとしても、そこは現地の人たちの生活の場でもあります。彼らの理解と生活の向上がなければ、植林しても持続させるには難しく、環境の改善にはつながりません。そこで私たちが考えたのが、植林することによって経済的な恩恵も得ることができる木を植えるということです。現地の人たちが積極的に植えるような種類の木を選ぶということも大事だと考えています。

選んだのは、アンズやサチ、ブンカンカなど、実がなる灌木です。これらの灌木は土の浅いところでしか根をはらないので、地下水に頼らずに成長することができます。しかも実が採れるから経済性に富んでいます。



現在、これら灌木の苗を、日本からの援助を使って、内モンゴル・ホルチン砂地でたくさん作っています。年間60万本のサチの苗を育て、年間40万本のアンズの苗を育てています。さらにアンズは種も採れます。種まきができる。そこまで加えると年間100万本のアンズが増えています。

この苗を、植林をしたい、緑化を通じて生活水準を上げたいという現地の方々に提供し、日本からの助成金で、柵や柱を購入し、彼らに配付しています。

2007〜8年にアンズの苗を植えて今年で2〜3年目。最近やっと実が採れるようになってきました。3ヘクタールほどの土地で、年間10万円ぐらいの収入を生んでいます。今後、年を重ねるごとに収入も増えるはずです。サチも2〜3年すれば、経済的な助けになるぐらい実が採れるようになるでしょう。

現地調査によると、アンズやブンカンカ、サチは、昔からこの地域によく見られた木でした。今でも限定的な地域では、これらの木が生息しているようです。つまり、これらの木は、この土地に適しているのです。この点も非常に重要だと思っています。

実をつける灌木を植えることによって生活が良くなっている。緑が増えている。それが現実になっています。


PROFILE   B.セルゲレン
中華人民共和国、内モンゴル自治区出身。内モンゴル沙漠化防止植林の会代表。1994年より日本に留学し、東北大学、東京大学に通う。政治学を学ぶかたわら、自らの故郷であるホルチン沙漠の植林活動を積極的に推進。

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